1984年から健康増進を目的とした総合健診を受けている対象者のうち、初回の健康診査で、健康管理を行わないと、いわゆるインシュリン非依存性糖尿病に移行すると考えられる耐糖能障害と判定され指導対象となった、初回健診時の年齢が33から49歳までの男子134人を対象として、平均追跡年数10年における改善状況を検討した。すなわち、最終健診時で、75g経口ぶどう糖負荷試験値をもとに空腹時決闘が110mg/dl未満でかつ負荷後2時間値が120mg/dl未満と正常域となった者と、耐糖能障害のままである者は約半数ずつ見られた。耐糖能障害と判定された初回健診時の年齢、また耐糖能障害改善の有無を判断した最終健診時における血圧、血清脂質値(総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪)、肝機能検査値、肥満度、最大酸素摂取量、身体活動量、喫煙、飲酒、コレステロール摂取量と多価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比、交代勤務の有無のそれぞれの項目と小集団教育、運動指導訓練、家族健康相談教室に参加する回数の両者間で各分布の違いを明らかにした。最終健診時のHDLコレステロール、肝機能検査値、肥満度、最大酸素摂取量、身体活動量、飲酒、家族健康相談教室に参加した回数のそれぞれが両者間で有意な差を認めた項目であった。項目相互の関連性をもとに補正してこれら項目を独立変数とし耐糖能が正常域となった者と耐糖能障害のままである者を目的変数としてロジステック回帰モデルで解析すると、家族健康相談教室に参加した回数が両者の間で有意に異なり、正常域となった者が参加回数が多かった。
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