平成9年度の本調査は、平成8年度にひき続いてEBV陽性胃がん患者とEBV陰性胃がん患者の生活習慣について行われた。対象者は鹿児島県内の主要な医療機関における胃がん患者で、EBV陽性胃がん患者31名とEBV陰性胃がん患者83名である。ケース(EBV陽性胃がん)とコントロール(EBV陰性胃がん)は出来る限り同じ医療機関から性、年齢をマッチングして選んだが、ケース自体が少ないため今回は大学病院に入院したEBV陰性胃がん患者もコントロールとして加えた。今後、ケースの入院している医療機関の規模が小さい場合等は、適当なコントロールを近隣の医療機関の患者の中から性・年齢をマッチングして選ぶ必要があると思われる。いずれの症例もISHによるEBVの有無の検索を終えており、リンパ球もしくはDNAが保存されている。また生活習慣についての質問は、面接者が直接対話して記入している。(喫煙歴については喫煙開始時と禁煙時の年齢、禁煙の理由を確認している。)解析の結果、禁煙者を含めた、喫煙歴のある患者数はEBV陽性胃がん患者の方で87%、EBV陰性胃がん患者で60%〔オッズ比3.3(95%信頼区間:0.8-13.4)、P値0.07〕という興味深い結果が得られた。他の生活習慣(食習慣・飲酒歴・運動歴・職歴など)については現在のところ有意な結果は得られていない。喫煙との関連についても、有意性を明らかにするには症例数が十分でないため、次年度もさらに症例数を増やしていき、詳しい検討を行う予定である。
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