全国4か所の健康増進センターを1983年から1987年に受診した40歳以上の男女4771人(男2323人、女2448人)を対象として、日常生活活動状況(ADL)、継続的な運動の有無、喫煙・飲酒状況、死亡者については死亡年月日と死亡原因を追跡調査した。平成8年までの死亡が確認できたのは男168人、女51人の計219人(4.6%)であった。生存が確認できたのは男1967人、女2189人の計4156人(87.1%)であった。男の153人、女の164人の計317人(6.6%)については転勤等の理由により追跡ができなかった。 体力水準と死亡の関連についてMantel-Haenszel法により予備的に解析を行った結果、体力水準が標準未満であった者は標準以上であった者に比べ性・年齢を調整した死亡の相対危険は、反復横飛び1.41(95%信頼区間1.03-1.91)、立位体前屈1.41(1.03-1.93)、垂直飛び1.59(1.12-2.27)と有意に高い結果が得られた。上体起こしと握力は有意ではなかったが、標準未満の者は標準以上の者に比べそれぞれ死亡のオッズ比は1.24(0.94-1.63)、1.19(0.83-1.71)と上昇していた。体力水準別に死因割合をみると反復横飛び、握力、垂直飛びが基準以上の者で、基準未満の者に比べ循環器疾患による死亡の割合が低い結果となった。立位体前屈、上体起こしでは循環器疾患による死亡の割合に両群で違いはみられなかった。 体力水準の低い者の方が総死亡のリスクが高く、循環器疾患による死亡割合が高かったことから、中高年者の体力水準の向上は、総死亡および循環器疾患の予防に効果があることが示唆された。来年度はコックスの比例ハザードモデルを用いて交絡因子の影響を調整し体力水準の向上の影響をさらに詳細に評価する予定である。
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