平成8年度は、研究の基本となるネットワーク・システムの構築・整備に主眼をおいた。1996年9月に学内の情報ハイウエイが整備されたことに伴い、まずプライバシー保護の点で問題が少ないと考えられる日本国内のAIDS/HIVに関する免疫情報についてインターネット上にホームページを作成した。主としてサーベイランス・データに基づく内外の情報をグラフ・表を多く用いてわかりやすく解説したものである。平成9年度は、研究の基本となるネットワーク・システムの向上とわが国のAIDS/HIV流行の動向に影響を与えうる世界の流行の動向、とくにアジア・太平洋地域の動向の解析に焦点を当てた。結核は単独の疾患としても同地域で高い有病率を有する。日本国内のAIDS/HIVに関する疫学情報については、血液凝固因子製剤輸注例を含め、1997年12月にエイズサーベイランス委員会がエイズ動向委員会に改組されたことに伴い、エイズ予防法施行前の症例を含め申請者を含む作業部会で、今までの疫学データの見直し、整理が行われた。その結果は確定していないが、Exposure categoryなどにつき現在までの認識を改めることが必要な部分があり。結核・エイズ発症合併症例については、わが国の場合、結核の病像が典型的でないことから、担当医が疑問をもって抗HIV抗体の検査を患者の承諾下で進めて確認される事例が多く、感染が見逃されている初期の結核感染が検査の対象外にあることを考慮すると、co-incideは一般に予想されているよりも高値である可能性が示唆された。現在も多くの問題点が指摘されている結核の診断が適切・迅速に行われることが、実態把握の条件として不可欠であると考えている。
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