本研究では、更年期の内分泌変動と骨代謝回転動態に影響を及ぼす身体活動の有効性について縦断的に次の検討をおこなった. 35歳から68歳の女性100名を対象として体力水準を把握し、運動処方立案のための基礎的検討をおこなっている。具体的には、対象者の呼吸循環諸変量にもとづく嫌気性代謝閾値の確定と横断的データから得られるこれら諸指標に及ぼす加齢変化と閉経の影響の有無を検証した.さらに、骨密度と骨代謝マーカーに及ぼす加齢変化と閉経の影響について運動群と対照群間の違いを検証した.さらに、実験的な運動実施の効果を検討するため、対象者を運動群、運動指導群、対照群の3群に分類した.そして、対照群を除く2群に対して、骨代謝への運動の影響を長期的に観察するため嫌気性代謝閾値相当の心拍数をターゲットとした運動処方を個々に作成し、フィールドワークを中心とする運動指導を1回/週、2年間に渡って実施し、次の知見を得た。1)更年期女性の呼吸循環諸変量には加齢の影響が認められ、閉経は影響しない.2)定期的な運動の習慣化は骨密度に好ましい影響を及ぼし、閉経後の骨量減少を抑制する可能性が示された。この場合の運動実施頻度と時間は、4回/週、約60分/回であり、運動種目・様式は剣道、ジョギングジョギング及びランニングであった.3)brisk walkingは閉経後女性の骨強度を高めることが示され、エストロンの関与が推察された.
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