研究成果の概要:水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の摂取量比の目標値を設定する必要があるかどうかの検討を目的にラット大腸癌の化学発癌に対するグアガムおよびグアガム:セルロース1:2の投与の影響を検討した。結果を要約すると次の通りである。1.グアガムがラット大腸化学発癌を促進するという既報を確認した。2.投与グアガムの2/3をセルロースに置換するとこの発癌促進が完全に抑制された。3.1.の場合も2.の場合も血清コレステロール、血清トリグリセライドは減少し、一日あたり糞中胆汁酸排泄量はほぼ倍増した。4. 1.の場合は糞中の総胆汁酸濃度が対照群と同じかそれより有意に高く、2.の場合は対照群より低く、半分に近かった。5.脱抱合活性は1.で対照より高く、2.では低かった。したがって、化学発癌剤の腸管内での脱抱合も1.で高く2.で対照より低いものと推定した。6. 7_<-α->脱水酸化活性は1.では対照群や2.群よりも低いものと推定された。その根拠は、1.では盲腸内乳酸、酢酸、プロピオン酸の量が対照群や2.群の倍量に近かった事である。その結果、1.群の二次胆汁酸濃度は最も低く、また、1.群の新生物は全てadenomaであった。以上より水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の摂取量比が指針として公表されることが望ましいと結論した。
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