一般家庭で様々なエアゾール製品が用いられている。含有される成分は、「噴射剤」・「溶剤」・「有効成分」から構成され、それぞれの目的に応じて特に有効成分が異なっている。市販の11のエアゾール製品を用いて、室内温度30°Cの25.4m3の人工気候室の換気を止めた状態で5秒間噴霧し、含有成分の室内挙動の調査を行った。 「噴射剤」としてLPG、ジメチルエーテル、イソペンタン、「溶剤」としてエタノール、トルエン、「有効成分」としてペルメトリン、フタルスリン、レスメトリン、ミリスチン酸イソプロピル、ディートが定量可能であった。5秒間の噴霧量はそれぞれの製品によって異なるが、おおよそ数gであった。各成分濃度は噴霧直後に一旦中央で最高値を示した後、わずかな気流にのって、噴霧から30分後にはほぼ均一化した。対象とした製品では、各成分の中央・床上1mでの最高濃度は、エタノール2.3ppm、トルエン1.3ppm、ペルメトリン64.0μg/m^3、フタルスリン24.5μg/m^3、レスメトリン2.6μg/m^3、ミリスチン酸イソプロピル189.7μg/m^3、ディート270.9μg/m^3であった。なお、温度の違いとして行った室内温度15°Cでの結果とは大幅な違いは認められず、また、換気による濃度低下が認められた。 家庭用エアゾール製品から発生するエアロゾルの量・粒径などは、缶内圧、ノズルの口径、缶のかたむけ方、そして噴霧時間などに影響される。本調査の結果は、「噴射剤」成分の換気がなければかなり長期間にわたって大幅な濃度低下を示さないが、「有効成分」は急速に濃度が低下すること示すものであった。また「溶剤」は両者の中間的な挙動を示した。各成分の室内挙動の違いは、各物質の沸点あるいは蒸気圧の違いから、壁あるいは床への吸着の程度に違いが出たものと考えられる。
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