(目的)一般家庭で様々なエアゾール製品が用いられているが、含有される成分は、「噴射剤」・「溶剤」・「有効成分」から構成され、それぞれの目的に応じて特に有効成分が異なっている。近年室内汚染問題が注目されているが、それらの物質の室内挙動について調査した報告例は少なく、実験室実験を行った。(方法)室内温度35℃の25.4m^3(3.28m×3.46m×高さ2.25m : 約6畳間)の人工気候室の換気を止めた状態で(換気率は0.16回/時間)、市販の11種類のエアゾール製品を用いて噴霧し、含有成分の室内挙動の調査を行った。(結果)室内中央付近1mの高さで5秒間噴霧すると、対象とした製品では、各成分の中央・床上1mでの最高濃度は、噴射剤ではジメチルエーテル26ppm、LPG26ppm、溶剤ではエタノール2.3ppm、トルエン1.3ppm、また有効成分ではペルメトリン64.0μg/m^3、フタルスリン24.5μg/m^3、レスメトリン2.6μg/m^3、ミリスチン酸イソプロピル189.7μg/m^3、ディート270.9μg/m^3という結果が得られた。なお、温度の違いとして行った室内温度15℃での結果とは大幅な違いは認められず、一方、換気による濃度低下が認められた。(考察)「噴射剤」成分は換気がなければかなり長期間にわたって大幅な濃度低下を示さないが、「有効成分」は急速に濃度が低下すること示すものであった。また、「溶剤」成分は両者の中間的な挙動を示した。各成分の室内挙動の違いは、各物質の沸点あるいは蒸気圧の違いから、壁あるいは床への吸着の程度に違いが出たものと考えられる。
|