研究概要 |
1、臨床分離結核菌の収集および薬剤感受性検査 結核患者より分離した結核菌を201株収集し、普通法(中試斜面培地使用)およびマイクロタイタ-法(スペクトル培地使用)により抗結核剤10薬剤(RFP,INH,SM,EB,KM,TH,EVM,CPM,PAS,CS)について感受性検査を行い、40株のカナマイシン耐性結核菌を得た。 2、結核菌のefg遺伝子のクローニング Salmonella Typhimuriumにおいてカナマイシン耐性とelongation factor G(efg)遺伝子の変異に相関性があることが判明しており、結核菌においてもefg遺伝子を調べることによりカナマイシン耐性との関連を探ることを目的として、結核菌のefg遺伝子のクローニングを行った。 Mycobacterium lepraeではefg遺伝子がすでにクローニングされており、rpsL、rpsG、efg、tufの順に遺伝子が並んでいることが判明している。結核菌についても同様の順に遺伝子が並んでいることが推測され、結核菌ではrpsLおよびtuf遺伝子がクローニングされている。そこでrpsL遺伝子の終末部分とtuf遺伝子の最初の部分について結核菌とM.lepraeに共通な領域をプライマーとしてPCR法により遺伝子の増幅を行い、rpsGおよびefg遺伝子を含むと推定される領域の増幅を試みた。 目的とする遺伝子を増幅するための、PCRの温度条件、DNAポリメラーゼの種類の検討を行い、denature:94℃1分、anneal:50℃1分、elongate:72℃2分の条件でEx Taq(TaKaRa)を用いることにより増幅に成功した。現在、このPCR産物をプラスミドベクターに挿入し、全塩基配列の決定を試みている。
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