研究概要 |
血痕、毛髪からpolymerase chain reaction-sequence specific primers(PCR-SSP)法によりHLA class II DNAタイピングを試みた。 DNAは型既知の血痕ガ-ゼ1cm^2からphenol/chloroform抽出し、Microcon^<TM>100 ultrapurification device(Amicon)で濃縮精製しprimerはDYNAL^<【○!R】>DQB1-SSP 1st setとDYNAL^<【○!R】>DR"low-resolution"-SSP(DYNAL)を用い、PCRを35サイクル行った結果DNA量0.1ng/PCRreaction mixture以上でタイピングが可能であった。PCRに用いる酵素をAmpliTaq^<【○!R】>DNA polymerase(Perkin Elmer),AmpliTaq^<【○!R】>+native Pfu DNA polymerase(Stratagene)(25:1),AmpliTaq^<【○!R】>Gold(Perkin Elmer)で比較した結果AmpliTaq^<【○!R】>Goldが収量、正確性の点で一番効果的であった。この酵素は低温度領域でのミスアニーリングを防ぐ目的で高温で活性化するようにデザインされている(hotstart)。PCR inhibitor,false positive,extra band等はMicrocon^<TM>100を用いた精製とAmpliTaq^<【○!R】>Goldを用いたhotstart PCRの導入により殆ど解決された。血痕全例で新鮮血の型と一致し長期保存血痕(10〜20年)もタイピングできた。 毛髪は毛根部と毛幹部に分け血痕と同様に操作し、PCRは40サイクル行った。DNA量10pg/PCR reaction mixtureで検出が可能であった。毛根部0.5cmを5本使用したときは全例、毛幹部5〜10cmからは約半数がタイピングできた。毛髪1本では毛根鞘の多く付着したものはタイピングできた。毛幹全例が検出可能になる方法を確立することが今後の課題であるが、この研究によりPCR-SSP法で血痕、毛髪のHLA class IIタイピングが可能であることを証明した。
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