研究概要 |
ミニサテライトDNAの1つであるMS31Aのフランキング領域に存在する3箇所の遺伝的多型部位を利用してアリルの繰り返し単位内の変異(a-,t-,O-タイプ)をマッピングするアリル特異的MVR-PCR法を用いて149個の血縁関係のない日本人のアリルを分析したところ、異なるアリルが147種類検出された。ドットマトリックス法によってホモロジーの分析をしたところ、それぞれ部分的に特定のリピート配列を共有する7つのグループに分けられ、99.99%以上の高いヘテロ接合度を示したが、17.4%のアリルは全長50リピート程度の比較的短いものであり、これらの殆どが酷似したリピート配列を持ち、Caucasianのアリルには見られないものであった。これらの短いアリルにはaOaOaで繰り返しが終わる特徴的な構造を持つものが多くみられた。また、繰り返し単位内のa-,t-,O-タイプの組成は、それぞれ49.6%、45.3%、0.9%でa-,t-タイプの比はほとんど同じであった。このグループのアリルの突然変異率は高くないことが予想され、これらのアリルは他のアリル特異的MVR-PCR法が可能で、現在までに多くのアリルが検出されているMS32共に用いるとさらに多くの集団遺伝学的研究、特に日本人集団の起源などの研究にかかさない遺伝情報を与えてくれることがわかった。 このように、MS31Aアリルのアリル特異的MVR-PCR法によるマッピングは日本人だけでなく、世界中における民族特異性や相互の関連性について極めて有力な遺伝マーカーになり得るものと期待された。
|