研究概要 |
今回,精液確認検査のマーカーとして使用できるような精漿特異抗原が存在するかどうかを検索する目的で,まず血清蛋白精製できたのでその臓器特異性などの性状を検討した. 【実検成績】1)精漿(約600ml)をBlue-Sepharoseクロマトグラフィー(0.05MTris-HCl,pH7.0)の0.1MKCl溶出分画について,Sephadex G-100,Sephadex G-150を用いてクロマトグラフィーを行って得られた分画(約95mg)について,更にFPLC装置(フィルマシア社製)を用いて陰イオン交換クロマトグラフィー(Mono Q,0.05MPhosphate Buffer,pH7.6,NaCl 0M→0.5M)およびSuperdex 200ゲル濾過にて精漿蛋白質を精製した.2)精製した蛋白質の分子量をSDS-PAG(12%)電気泳動法にて測定したところ,1本のバンドのみが認められ約38KDaと算出された.3)次に,精製抗原について,ヒト血清で吸収した抗ヒト製漿ウサギ血清と,ヒト血清・唾液・初乳で吸収した抗ヒト精漿ウサギ血清とを用いて交差免疫電動泳動を行い血清あるいは唾液・初乳との交叉な沈降線を形成したが,ヒト血清・唾液・初乳で吸収した抗精漿血清とは沈降線の形成を認めなかった. 以上の成績より,今回精製した抗原は,分子量約38KDaで,精漿・唾液・初乳に共通して局在する蛋白質で,精漿特異抗原ではないと考えられた.
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