先ず、ヒト肝臓よりLSAを精製し、リシルエンドペプチダーゼで30°C、2時間処理を行った後、SDS-PAGEにより消化されたペプチドの断片を分離した。分離したペプチド断片はメンブレンに転写後、そのアミノ酸シークエンスを決定した。LSAのN末端-クエンスとペプチド断片のアミノ酸シークエンスをもとに3'、5'端のプライマーを作製し、ヒト肝臓由来のmRNAからRT-PCR法によってプローブを合成した。次いで、このプローブを用いてヒト肝臓のcDNAライブラリーのスクリーニングを行った。同時に、抗ヒトLSAマウスモノクローナル抗体を用いた抗体スクリーニング法についても検討した。その結果、約1.5-2.5KbpのcDNAを持つクローンの分離に成功し、そのうち計6クローンについてクローニングを行った。これらのクローンから採取したcDNAは、デレーション後、大腸菌にトランスフォーエンションし、全塩基配列を決定した。決定した塩基配列は、既存のDNAデータベースを用いてホモロジー検索を行った結果、1993年にKroetzらによって分離されたカルボキシルエステラーゼと同一配列であることが明らかとなった。この蛋白には各臓器によって等電点の異なる様々なアイソフォームが存在し、そのアイソフォームは、糖鎖の違いによるものであることから、LSAの臓器特異性は、カルボキシルエステラーゼの肝臓型アイソフォームのもつ糖鎖に由来しているのではないかと思われた。従って、今後はLSAの糖鎖解析が必要であると考えられた。
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