研究概要 |
1)慢性関節リウマチ(RA)l滑膜組織において,癌抑制遺伝子p63蛋白の検出を免疫組織化学を用いて行った.RA滑膜組織20例中16例にp63蛋白が検出された.さらに,RA滑膜炎の活動性に相関しp63蛋白の蓄積が認められた.変形性関節症,外傷性疾患の滑膜組織においては,p63蛋白は検出されなかった. 2)RA及び外傷性疾患培養滑膜細胞で.p63蛋白の検出を蛍光抗体法にて試みたところ,RA培養滑膜細胞において3〜5%陽性細胞が認められた.外傷性疾患培養滑膜細胞ではp63蛋白陽性細胞は認められなかった.一方,他の癌抑制遺伝子産物Rb蛋白は,RA滑膜組織,外傷性疾患滑膜組織においても検出され,有意差は認められなかった. 3)培養滑膜細胞を^<35>S蛋白ラベルし,蛋白抽出し抗p63抗体と免疫沈降を行った.RA滑膜培養細胞では,外傷性滑膜細胞 癌細胞cell lineと比較し,p63蛋白近傍にextrabandが認められ,p63蛋白と結合する蛋白の存在する可能性が示唆された. 4)上記培養細胞より,(1)DNAを抽出しp63mutationのhot spotを含む領域でのPCR-SSCP法を行った.RA滑膜細胞では,明らかなconformationの変化は認められなかった.(2)培養滑膜細胞よりmRNAを抽出しp63のfunctional analysisを行ったが,RA5例中いずれもp63のmutationは認められなかった. 5)今後,RAでのp53蛋白の機能異常とサイトカイン発現等の病因との関連を追及してゆく予定である.
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