研究概要 |
従来よくわからなった一次免疫応答を誘導する抗原提示細胞をヒト末梢血単核球の培養細胞から種々の比重遠心法を組み合わせることによって分離するこに成功し、その由来となる前駆細胞を明かにし、さらに増殖能をもつ幹細胞を同定した。全くの健常者においてこれらの細胞は合成HIVタンパクの刺激によってT細胞の著しい活性化を誘導できることが明らかとなった。樹状幹細胞がどのような増殖因子によって樹状細胞を誘導してくるかを現在検討中である。明かとなった性状をもとに末梢血の単核球成分の表面抗原の解析を施行し、従来の5-10倍、樹状細胞を分離する方法を開発した。これによってアフェレ-シスをつかって患者から大量の細胞を分離する必要がなくなり、患者の負担の軽減が可能となった。 癌抗原については、いくつかについて検討中であるが、B細胞悪性リンパ腫の特異抗原であるイデイオタイプを患者由来の培養細胞株からファージシステムを使ってリコンビナントのかたちで合成することに成功し、現在それを臨床応用できるかたちで精製するシステムを開発中である。 また、メラノーマ特異抗原であるMAGE,BAGE,GAGEが種々の消化器癌でも発現しており、すでに精製された蛋白抗原もあるため、その入手を完了している。外科的に切除された癌がどのタイプの特異抗原を発現しているかをmRNAレベルで調べたのち、それに対応した癌タンパクと患者本人の樹状細胞でワクチン療法を計画しており、大学の倫理委員会の許可が得られている。
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