研究概要 |
慢性骨髄性白血病にみられる新たな融合蛋白質BCR/ABL由来のペプタイドと樹状細胞を使うことによって白血病細胞を障害するキラーT細胞を誘導できることがin vitroに実験で明らかにされてきた。このような基礎をもとに、患者からアフェレーシスで大量に白血球を採取した后,樹状細胞を分離し,合成BCR/ABL由来ペプタイドと混合培養した後十分洗浄后,樹状細胞のみを経静脈的に投与するというワクチン療法を開始した。有効性について判定するためにはこれから数ケ月かかると思われる。 又末期脳腫瘍患者(malignant germinoma)ですでに放射線療法,化学療法が全く効かない状態においてin vitroで分化した患者本人の樹状細胞を経静脈的に投与するという養子免疫療法を行った。マウスの実験においても大量の樹状細胞を担癌マウスに投与すると腫瘍の縮少,延命効果があることが示されている。この患者においても治療開始3日目から著しい腫瘍の縮少がみられ,β-HCGなどの腫瘍マーカーも劇的に低下している。ワクチン療法とは異なる作用機序が考えられた。
|