研究概要 |
甲状腺上皮細胞がMHCクラスII抗原を発現している自己免疫性甲状腺疾患における甲状腺浸潤リンパ球の免疫異常を調べ、甲状腺MHCクラスII抗原発現の意義および自己免疫性甲状腺疾患の病因について検討することを研究目的とした。今回、最近フローサイトメトリーを用いて細胞質内にIFNγ,IL2,IL4,IL5等のサイトカインを含有するリンパ球サブセットの測定が可能になったことより、自己免疫性甲状腺疾患の末梢血リンパ球および甲状腺に浸潤しているリンパ球において、IFNγ,IL2を産生するCD4細胞(Th1)およびCD8細胞(Tc1)、およびIL4、IL5、IL10を産生するCD4細胞(Th2)およびCD8細胞(Tc2)を調べた。そして、Th1およびTh2細胞のバランス、およびTc1およびTc2細胞のバランスを末梢血と甲状腺内で比較し、甲状腺内では主に細胞性免疫応答の増強に働くTh1と主に液性免疫応答の増強に働くTh2のどちらが優勢であるのか、またTc1とTc2細胞のどちらが優勢であるかを明らかにすることを試みた。しかし、検索した症例数がまだ少ないこともあるが、現時点では個々の症例で大きく異なり、有意の結果が得られなかった。さらに症例数を増やして検索する予定である。また、甲状腺上皮細胞に発現しているMHCクラスII抗原がリンパ球に与える影響については、甲状腺浸潤リンパ球の収量が少なく、また混合培養後のリンパ球の回収率が悪いため、新たな研究方法を考える必要が明らかになった。
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