平成9年度の主な研究実績は、慢性関節リウマチ(RA)の病変部位である滑膜でのインターロイキン-12(IL-12)発現細胞の同定と、滑膜でのIFN-γ優位なTh1型反応の維持に対するIL-12の関与を明らかにしたことである。(1)抗CD68抗体、抗IL-12抗体による二重免疫組織染色法による検討を行い、RAの滑膜組織の陽性細胞は主に表層下のリン°球浸潤部位周囲に分布するCD68陽性のマクロフB-ジ系細胞と、CD68陰性樹状細胞であることが明らかにされた。(2)RA滑膜細胞細胞をIL-2のみで2週間培養した後に回収したT細胞(CD3陽性細胞>90%)はCD4陽性細胞が95%以上で、IFN-γ優位なTh1型反応を示していた。この培養系にIL-12、抗IL-12、IL-4を添加しIFN-γ産生Th1型サイトカイン・°ターンの維持に及ぼす影響を検討した。IL-12によりT細胞のIFN-γ産生能は増強し、抗IL-12により減弱、IL-4では影響はなかった。昨年度に得られた結果とあわせ、慢性期RA滑膜ではマクロフB-ジ系細胞と樹状細胞よりIL-12が産生され、T細胞のIFN-γ産生とTh1クローンの機能を増強することにより、局所でのTh1型免疫反応を維持する重要な因子であることが示された。 現在、培養中にIL-12を添加するなど条件を変え、滑膜T細胞より関節軟骨に分布する2型コラーゲン特異的なT細胞クローンの確立を試みている。しかしながら、滑膜T細胞の反応性が乏しいことから、有意に特異的なクローンは得られていない。
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