慢性関節リウマチ(RA)の滑膜病変部におけるIL-12の発現と、その滑膜浸潤T細胞に対する役割を検討した。 RAおよび変形性関節症(OA)の滑膜細胞より分離したmRNAよりcDNAを作成し、RT-PCR法により誘導性分子であるIL-12p40のmRNAレベルにおける発現を比較し、RA滑膜がより強くIL-12p40mRNAを発現していることを明らかにした。また、RA滑膜分離細胞は無刺激下で機能的蛋白であるIL-12p70を産生していたが、OAではその産生は極めて少ないか、検出されなかった。免疫組織学的検討では、RA滑膜におけるIL-12産生細胞は主に滑膜表層下のリンパ球湿潤周囲部に分布する大型滑膜細胞であった。さらに、抗IL-12抗体と抗CD68抗体との二重染色法により、産生細胞の大部分はマクロファージ系細胞であり、一部樹状細胞様の細胞が含まれることが明らかになった。 さらに、RAの分離滑膜細胞にIL-12を添加し、培養上清中に分泌されるIFN-γ産生量に及ぼす影響をみたが、IL-12は0.5pg/mlの低濃度でIFN-γの産生を誘導し、濃度依存性に強いIFN-γ産生誘導を認めた。また、その誘導はPMAとA23187による刺激と比較すると、IL-12はIL-2、IL-4を誘導せずIFN-γに特異的であることが明らかになった。RA滑膜細胞をIL-2とともに14日間培養した後の非付着性細胞は90%以上がCD4陽性T細胞であったが、IL-2とともにIL-12を添加することにより、T細胞のIFN-γ産生能は増強し、抗IL-12抗体添加により減弱した。しかし、IL-4添加の影響はなかった。 以上より、RA滑膜の主にマクロファージ系細胞により産生されるIL-12は、滑膜浸潤T細胞のIFN-γ産生を増強し、Thl型サイトカイン・パターンの維持に関与していることが示された。
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