研究概要 |
1)現在ヒトのNK細胞より抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD19抗体を利用しNK細胞をnegative selectionにより精製したが、NK細胞の長期維持には失敗している。精製されたNK細胞をNK細胞receptorに対する抗体であるEB6(Cw2,4,5,6)、GL183(Cw1,3,7,8)、DX9(Bw4)を利用しHLAの異なる患者において検討しているが、一定の傾向を認めていない。すなわちCw2,4,5,6を有しないヒトでもEB6陽性のNK細胞を認め、逆にCw1,3,7,8を有しないヒトにもGL183を認める。現在、NK細胞cloneからの抗体作製をあきらめ、精製NK細胞からの新しいNK細胞receptorに対する抗体の作製を試みている。 2)申請者らin vitroでB6D2F_1マウス(H-2^<b/d>)のPlastic adherent-LAK細胞が親マウスC57BL/6(H-2^b)のLPS Blastを効果的に傷害すること(hybrid resistance)を証明してきた(J.I.156.4651-4655.1995)。更に今回はNK receptorであるLy-49AとLy-49G2陽性のNK/LAK細胞がこの現象における重要な役割をなしていることを証明している。すなわちLy-49AとLy-49G2陽性のNK/LAK細胞のsubsetをpanningによってdepletionしてやるとhybrid resistanceの現象を認めなくなる。今後in vivoにおけるLy-49AとD^d、Ly-49G2とD^d、L^dとの関係を破綻させたときいかなる現象が起こるかを検討していく予定である。 3)NK細胞receptorのnegative signalをNK細胞receptorの一つであるP58のcytoplasmic domainとCD3ζのtransmebraneとCD16のouter membraneのchimeraを作製し、これをB細胞であるA20にtransfectionした。このtransfectionされた細胞では抗CD16抗体とヤギ抗マウスIgGにより部分的にIL-2の産生が抑制され、B細胞において確立されているnegative signalと同じまたは類似のsignalがNK細胞においても働いていることが推定され、現在解析を進めている。
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