研究概要 |
1 単球・内皮共培養によって誘導される接着分子(Cardiovasc.Res.1996) 共培養によって内皮細胞上にICAM-1,VCAM-1が誘導されるが、これは部分的に同時に産生されるTNFとIL-1による。これは単球・内皮細胞相互作用を増強するpositive feedbackとして機能していると考えられる。 2 単球・内皮細胞相互作用によるGM-CSF産生の誘導(Circulation,1996) 単球が内皮細胞と接着し血管外へ遊走するときに、その両細胞間相互作用によってGM-CSFが産生され、これが遊走する単球の機能に大きな影響を与えている。 3 内皮下に遊走した単球のIL-8産生能(J.Clin.Immunol.1997) 単球が血管外へ遊走する際に内皮細胞との相互作用によってIL-8産生が誘導される。これは内皮と接触する前の約3倍にあたる。このようなIL-8産生誘導は既知の接着分子に対する抗体では阻止できず、未知の分子が関与していることが推定された。 4 単球・内皮共培養IL-8産生を誘導する未知の分子とその遺伝子 われわれは共培養誘導IL-8産生抑制するヒト臍帯静脈内皮細胞をマウスに免疫して樹立した5種類のモノクローナル抗体を得たが、これらのなかでとくに90%以上の抑制率を示す2B10(IgG2a)を選び、^<125>Iを用いた免疫沈降法によってその分子量の決定を試みたが、再三の実験にもかかわらず沈降せず、免疫沈降には適さない抗体であった。現在は他の抗体を使い再度の分子量の決定を試みている。また分子クローニング法による認識抗原の同定については、実験の開始からまだ半年のため現在そのシステムを立ちあげたところであり、現在利用可能な抗体を使い実験は進行中である。
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