研究概要 |
1. 全身性エリテマトーデス(SLE)、Sjogren症候群、健常人より血清を採取し、血清中のprolacin値を測定した。SLEおよびSjogren症候群では約20%に上昇がみられてが、臨床症状や疾患活動性との間には相関関係はみられなかった。 2. SLE、Sjogren症候群、健常人より、リンパ球を分離し、非刺激,PHA,IL-2,PMA等の刺激下で各種prolactin濃度に対するcytokine産生能検討した。IL-4は、prolactinの無添加時の52.2±14.0pg/mlより29.5±9.8に抑制され、逆に、INF-γの71.9±34.6から98.6±43.7に有意に産生の上昇がみられた。これらのINF-γの産生の亢進と、IL-4の産生抑制の程度と血清prolactin値とは相関関係はみられなかった。 3. Sjogren症候群では、PRLによりTヘルパー細胞のTh1優位のヘルパーT細胞が誘導される可能性が推測された。 4. Sjogren症候群患者リンパ球で、prlactin刺激によるSTAT5の発現が、健常人より強く発現することが確認された。すなわち、prolactinによりSjogren症候群患者のリンパ球の活性化に関与していることが推測された。しかし、これが、リンパ球のいかなる機能の活性化に関与するかは、今回の実検では明らかではなく、今後、この点を明らかにする必要があると考えられた。 Sjogren症候群の一部では、PLRが上昇し、その結果、Th1優位のヘルパーT細胞が誘導される可能性が推測されているが、PRLによるThl細胞の誘導の機序を検討が今後必要である。
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