本研究の目的は、腫瘍部への温熱負荷がLAK活性の増強をもたらすかどうかをin vivoの系で実験し、あきらかにすることにある。LAK細胞がin vitroで強い抗腫瘍効果を示すことはこれまで多くの実験であきらかにされているが、一方in vivoで思ったほどの効果がみられず、LAK細胞がin vivoで腫瘍部へ集積しないことが両者のdiscrepansyの主な原因であることを我々は報告した。そして腫瘍特異的モノクローナル抗体を用いることでin vivoでLAK細胞を腫瘍部へ集積させることができることを示した。平成8年度は、in vivoでLAK細胞を腫瘍部へターゲッティングする目的で、ポリエチレングリコールを用いてモノクローナル抗体をLAK細胞表面に結合させるための、至適条件(ポリエチレングリコールのサイズ、濃度、反応時間など)を検討するとともに、LAK細胞表面へのモノクローナル抗体結合をflow cytometryで確認し、また抗体結合LAK細胞の抗腫瘍効果が無処理LAK細胞と変わらないことをあきらかにした。現在、この抗体結合LAK細胞の抗腫瘍効果に対する腫瘍細胞温熱処理の影響について、in vitroの系で検討をおこなっている。またヌードマウスへのヒト腫瘍細胞移植をし、移植部への加温実験を開始している。 今後、ヌードマウスの腫瘍細胞移植部の加温により、腫瘍内温度を任意に保つ系を確立し、この系に腫瘍特異的モノクローナル抗体結合LAK細胞を投与して、LAK細胞と温熱負荷との併用による抗腫瘍効果の増強の有無について、検討を行っていく予定である。
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