研究課題/領域番号 |
08670536
|
研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
松村 竜太郎 東邦大学, 医学部, 助手 (70246742)
|
研究分担者 |
鏡味 勝 東邦大学, 医学部, 助手 (50233656)
冨岡 玖夫 東邦大学, 医学部, 教授 (20009632)
|
キーワード | シェ-グレン症候群 / 唾液腺炎 / 間質性腎炎 / Fas抗原 / Fasリガンド / アポトーシス / alyマウス |
研究概要 |
FasリガンドをもつCD4陽性細胞が、Fas抗原陽性細胞と結合し、その細胞を破壊しキラーT細胞活性を示すことが知られている。シェ-グレン症候群の臓器炎、小唾液腺炎、尿細管間質性腎炎において、アポトーシス、Fas抗原、そのリガンドの発現の有無を明らかにし、シェ-グレン症候群の臓器炎の成立におけるFas、Fasリガンド系の関与を解明することを目的として検討した。平成8年度に、本症候群患者の小唾液腺生検や尿細管間質性腎炎生検組織において、小唾液腺道管、間質性腎炎尿細管に新たなFas抗原の発現を認め、浸潤細胞の一部にFasリガンドが陽性にみとめられることを明らかにした。そこで平成9年度は、同組織のFas抗原、FasリガンドのmRNAの発現を検討した。さらに、最近本症候群のモデルとして注目されるalyマウスの顎下腺炎組織においてFas、Fasリガンドの発現と、アポトーシスの有無を検討した。 1.本症候群の唾液腺炎組織におけるFas抗原、Fasリガンド発現のRT-PCR法により検討したところ、Fas抗原、FasリガンドのmRNAの発現が認められた。 2.本症候群モデル動物alyの顎下腺におけるFas抗原、Fasリガンドの発現を免疫ペルオキシダーゼ法にて検討した。細胞浸潤部分に於いて、導管上皮にFas抗原の発現を認めた。細胞浸潤の少ない部分では導管にFas抗原に発現は見られなかった。浸潤細胞の一部にFasリガンドが陽性にみとめられた。細胞浸潤の多い部分に於いて、DNA nick end labeling法にて、唾液腺導管上皮にアポトーシスに陥った像が見られた。 以上より、シェ-グレン症候群の臓器炎に於いて、細胞浸潤の程度に相関して、導管上皮、尿細管上皮にFas抗原の発現が認められ、周囲の浸潤細胞のFasリガンドからのシグナルを受けて、導管上皮、尿細管上皮にアポトーシスが生じ、組織破壊が生じていることが示唆された。
|