1.IL-1抑制薬の関節炎及び関節炎にともなう骨量減少に対する改善効果 ラットアジュバント関節炎(AIA)を用いIL-抑制ペプチド及びIL-1抑制作用のあるmethotrexate(MTX)の関節炎、骨代謝動態の変化、骨量減少に対する効果を検討した。アジュバント接種後、9日目より多関節炎を認め、その時期に一致して骨髄細胞培養における骨髄細胞からのosteogenic precursor cell colony(fibroblast-colony forming unit:FCFU)形成の低下と破骨細胞の形成亢進がみられた。大腿骨、脛骨とも関節炎近傍部を中心に骨密度が低下した。IL-1抑制ペプチド(human type I IL-1 receptorの86-93の部分の誘導体)腹腔内投与(4mg/kg/day以上)あるいはMTXの経口投与(3mg/kg/week)で関節炎の抑制及び骨髄細胞の骨形成能の増加と骨吸収能抑制がみられ、骨密度の増加もみられた。以上から、IL-1を直接的あるいは間接的に抑制することにより関節炎に伴う骨代謝異常と骨量減少が改善することが明らかとなった。 2.培養ヒト滑膜細胞による骨吸収 RA患者滑膜組織より滑膜細胞を分離し、in vitroで破骨細胞様細胞を誘導した。この多核巨細胞はCD68陽性で滑膜のマクロファージ様細胞より分化したものと考えられた。電顕ではruffled borderを有し、ライソゾームが著明に発達しており、象牙片上で吸収窩を形成した。本細胞の分化や機能抑制により慢性関節リウマチの骨破壊を抑制できる可能性があり、現在、IL-1抑制薬などで検討中である。
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