研究概要 |
暴露するアレルゲン量により、Th2、Th1型反応を制御できる可能性が報告されている。さらに、我々は急速減感作療法の前後でダニ抗原特異的T細胞株の機能を解析し、急速減感作療法により、Th2型細胞の無応答性を誘導できる知見を得た。そこで、大量抗原を投与することにより、T細胞の反応性をどのように制御できかin vitroで検討を試みた。活動性気管支喘息患者より、末梢血リンパ球を採取し、500μg/mlの大量ダニ抗原または10-1μg/mlの至適抗原量と共に一次培養を10日間行った。洗浄後24-48時間静止化した後、至適量の抗原刺激を加えた。二次培養時の増殖反応及びサイトカイン産生性、転写因子活性(AP-1,NF-_kB)を比較検討した。至適抗原量で一次培養した場合は著明な2次反応を認め、IL-5、IL-4を産生したのとは異なり、大量抗原で一次培養すると、二次培養時、増殖反応およびサイトカイン産生(IL-4、IL-5、IL-10、IFN-γ)は認めなかった。この無応答性はIL-2で解除され、細胞死の誘導ではないことが示された。さらに、抗原特異的な細胞の反応をより詳細に検討する目的でネコ毛の主要アレルゲンであるFeld1特異的T細胞株を作成し、大量抗原暴露の効果を検討し、同様の無応答性の成立を認めた。また、両細胞のCD28抗原発現には差異がなく、大量抗原による無応答性の誘導は抗CD28抗体の投与によって解除されなかった。さらに、転写因子活性を検討すると、大量抗原投与群にAP-1の発現の著明な低下が認められた。抗原提示細胞存在下で、大量抗原を投与する事により、Th2型細胞にアナジー類似状態を誘導できることが明らかになった。
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