研究概要 |
平成8年度は,以下の2つの実験を行った。1まず,難消化性澱粉の作製方法を考案し確立させた。具体的の完成された作製方法は,ハイアミローススターチ(日本食品化工,東京)をオートクレーブで熱処理し,パンクレアチン(Sigma社,アメリカ)による酵素処理を加え分解されずに残った澱粉を難消化性澱粉とした。実験に必要な難消化性澱粉150kgの作製を行いこれを完了した。2次に,体重約200gの雄Sprague-Dawleyラット120匹を摂取飼料別(無繊維食,3%セルロース食,3%難消化性澱粉食,10%セルロース食,10%難消化性澱粉食)に群分けし,5週齢より各々の食餌を摂取させた。無繊維食としては大塚製薬(東京)製のハイネックスRを,セルロースはドイツMacherey Nagel社製のものを用いた。一方実験大腸癌の作成のために発癌剤として1.2-demethylhydra-zine(DMH,半井化学,京都)を週1回,20mg/kg,計20回,腹腔内投与している。この実験作業は現在進行中であるが,すでに5匹のラットで大腸癌によると考えられる下血が観察されている。平成9年度はさらに,ラットを解剖し大腸の腫瘍性病変の組織学的検討を行い食物繊維と難消化性澱粉の効果を比較する予定である。また,解剖時に近位結腸と遠位結腸から糞便を約3g採取し,-20°Cに凍結保存後高速液体クロマトグラフィーを用いて糞便中の酢酸ブロピオン酸,n-酪酸を測定する予定である。また,内視鏡検査終了1週間後に代謝ケージでラットを飼育して一日の排泄糞便量を収集する予定である。
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