肝癌の治療を目的とした腹腔鏡下マイクロ波凝固療法に使用するマイクロ波電極針および超音波プローブの改良について検討した。従来から使用しているマイクロ波電極針の太さは直径1.6mmであるが、2.0mmのものを作成した。その結果、犬の肝臓を用いた実験での焼灼面積は1.6mmのものでは直径2cm円で描かれる範囲内であったが、2.0mmのものでは3cmと拡大した。したがって、従来のものに比べ、焼灼面積が広くなり、穿刺回数が減り、治療時間の短縮が期待できるものと思われる。しかし、穿刺部が大きくなるので不十分な焼灼では出血の危険性が増すので臨床応用のまえに動物実験で安全性についてさらに慎重な検討が必要と考えられた。超音波プローブについてはマイクロ波電極針の穿刺角度が一定となるような装置を試作中であるが、治療可能な部位が限られてくるなど問題点があり、改良の余地が多い。穿刺部先端をモニター上で明瞭に表示するためには、マイクロ波電極針の改良や外套針の改良で動物実験ではある程度満足いくものができつつあり、実際に臨床で使用予定である。超音波の波長については7メガヘルツが使用されていて、その波長では4cmを越える深部の観察が困難で、検討の余地のあることを明らかにした。
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