研究概要 |
染色体の末端にあるテロメアの長さを維持するテロメラーゼ活性の発現により細胞の不死化が商事、様々な悪性腫瘍でテロメラーゼ活性が高頻度に報告されている。我々は、TRAP法でテロメラーゼ活性を測定したところ肝細胞癌手術例の癌部で22/26(85%)と高率であるのに対し、非癌部で3/26(12%)、非担癌慢性肝疾患では1/20(5%)であった。癌の腫瘍径、分化度によらず高頻度に発現が見られることから小肝細胞癌の診断に有用であろうと考え、超音波下狙撃肝生検により得られた28症例の腫瘍部(腫瘍径1.3〜3.3cm,平均2.2±0.5cm)と非腫瘍部におけるテロメラーゼ活性を定量的に測定した。腫瘍部のうち組織学的に癌と診断された25例の平均テロメラーゼ活性は133.7±197.3単位、境界病変と診断された3例は11.7±11.3単位、非癌部の平均テロメラーゼ活性は4.5±7.5単位であった。非癌部の平均テロメラーゼ活性の2SDをとって19.5単位以上を異常高値とすると、癌部では19/25(75%)、境界病変は1/3(33%9、非癌部1/28(4%)で、超音波下狙撃生検による小肝細胞癌の診断にテロメラーゼ活性の定量的測定は有用であると考えられたが、境界病変に関してはさらに症例数を増やし検討する必要があると思われる。またTelomereの平均長は正常肝、慢性肝炎、肝硬変および肝細胞癌では各々7.3±1.4,6.5±1.4,6.4±0.6,6.0±3.5kbで、癌部のTelomere長も約2/3の症例で癌部と非癌部が異なっていた。
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