CHO細胞に発現させたH2受容体を用いて、自己応答性の受容体機能調節機構について以下の検討を行い新たな知見を得た。 (1)H2受容体活性化に伴って細胞内情報伝達系として、cAMP-Aキナーゼ系、Cキナーゼ系が活性化するが、これらの経路は種々のCキナーゼ活性化薬や阻害薬を用いた検討から、cAMP反応の増強に働いていること、Cキナーゼ系活性化の程度によって受容体脱感作の抑制や逆に脱感作の方向にも働くことから、H2受容体情報伝達系がこれまで考えられている以上に複雑な相互作用をしていることを明らかにし英文論文として報告した。 (2)受容体脱感作と受容体の細胞内移動との関係を調べるために、受容体C末端側の種々の長さの欠損遺伝子を作成してそれらを各々発現させ、受容体の脱感作と細胞内移動との関係を検討した。その結果受容体C末端の特定部位が細胞内移動に関係していることが明らかとなった。一方脱感作現象はC末端欠損変異受容体でも認められるためこれに関与する受容体機能部位は別に存在する可能性が高い。これらの知見は、昨年国際学会に報告し、現在論文投稿中である。 (3)H2受容体N末端タグ標識C末端欠損受容体とともに正常受容体を共発現させ、C末端に対する受容体抗体による免疫沈降を行うと両者がともに回収されることから、H2受容体が2量体以上の多量体として機能している可能性があるというこれまでG蛋白質共役型受容体ではあまり報告されていない新たな知見を見いだし、現在論文として投稿中である。
|