非ステロイド系消炎鎮剤(NSAID)であるインドメサシンの肝細胞増殖因子(HGF)発現に与える影響を胃及び大腸の人線維芽細胞を用いて検討し以下の事が明らかとなった。 1.人胃・大腸線維芽細胞はHGFを産生していた。 2.プロスタグランジン(PG)はHGF産生を亢進させた。その強さはPGE_1≧PGE_2>PGI_2analogwtih. 3.外因性のcAMP及びコレラトキシンは著明にHGF産生を大進させた。 4.PGE_1はcAMPを増加させた。これらの細胞はEP_2・EP_4PG受容体を発現していた。 5.FGF・TGFα・EGF・TNF-α・IL1-βのうちIL1-βのみが著明に内因性PG産生を刺激した。 6.IL1-βはPG合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)のサブタイプのうちCOX-1は誘導せずCOX-2を誘導した。 7.インドメサシンはIL1-βによるPGE_2産生亢進を完全に抑制した。 8.IL1-βはHGFを誘導したが、これはインドメサシンにより抑制された。 これらの結果はNSAIDの作用としてPG再生を阻害する事によって増殖因子の増加が抑制される可能性を示しており、NSAIDによる胃粘膜障害やNSAIDの大腸癌発生抑制の機構の一部を説明する可能性のある知見と考えられる。
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