日本におけるGBウイルス-C(GBV-C)/G型肝炎ウイルス(HGV)感染の頻度と病態を調査した。対象は肝機能障害患者108例、血液透析患者50例、血友病患者14例、合計172例である。方法は各患者血清100μlを用いたRT-PCR法によるGBV-C/HGV-RNA検出によった。 いわゆる非A・B・C・D・E型劇症・急性肝炎13例における検索ではGBV-C/HGV陽性者は劇症肝炎の2例のみであった。しかもこの2例ともGBV-C/HGVの検出は血しょう交換治療後の血清におけるものであり、GBV-C/HGVの病因的意義は不明であった。いわゆる非B・C型慢性肝疾患患者35例では慢性肝炎1例と肝硬変1例の計2例がGBV-C/HGV陽性であった。肝細胞癌6例には陽性者はいなかった。B型慢性肝炎例では20例中1例、C型慢性肝炎例では35例中4例がGBV-C/HGV陽性であった。血液透析患者では50例中5例が、また血友病A患者では14例中1例がGBV-C/HGV陽性であった。 GBV-C/HGV陽性15例の輸血または血液製剤輸注暦を見ると、これらのある症例が8例、一方ない症例が7例と、半数以上の症例に輸血または血液製剤輸注暦を認めた。血清HBs抗原・HCV抗体陰性でGBV-C/HGV陽性8例の血清AST/ALT値を見ると4例が異常値、4例が正常値を示していた。 以上、日本におけるGBV-C/HGV感染の頻度は低いものと思われた。感染経路としては血液を介することが疑われ、肝細胞障害性については今後さらに究明すべき課題であると思われた。
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