研究概要 |
われわれはC型肝炎における免疫応答を解析するためにHCV遺伝子導入マウスモデルの作製とHCV抗原にたいする細胞障害性T細胞(CTL)の効果的誘導をおこない以下のような研究成果を得た。玉置はまずLaeZ遺伝子-リポゾーム複合体を直接マウス肝臓に穿刺注入しβ-galactosidase染色をおこなったが穿刺部位と被膜下に染色がみられたのみであった。そのためより効率的な肝臓への遺伝子導入を試みた。HCVコア蛋白のcDNAをプラスミドpCDNA3に組み換え、10,25,50μg/100μlでBALB/cマウスの肝臓に直接穿刺注入した。注入直後にBTX社製DC generator T820をもちいて注入部位に電気パルスをおこない、48時間後に肝組織よりmRNAを抽出し、RT-PCRをおこなった。その結果電気パルスを与えない場合にはmRNAの発現は認められなかったが、電気パルスを与えた場合には50μg/100μlで確実な発現が確認され、HCV遺伝子導入モデルの作製に成功した。われわれはすでにマウスにおけるHCVコア蛋白のヘルパーエピトープを明らかにしているが、玉置と栗林はそのヘルパーエピトープをCTLエビトープと組み合わせたキメラペプチドのHCVコア蛋白特異的CTLの誘導における効果を検討した。CTLエピ卜-プペプチド、ヘルパーエピトープペプチド、CTL-ヘルパーキメラペプチドおよびヘルパー-CTLキメラペプチドをBALB/cマウスに皮下に初回免疫し、ついで腹腔内に追加免疫しCTL活性を測定した。その結果CTLエピトープ単独での単独での免疫に比べてヘルパー-CTLキメラペプチドで免疫した場合に2から3倍高いCTL活性が得られた。現在われわれはキメラヘプチドで誘導したCTLをHCV遺伝子導入マウスに養子移入し肝炎モデルの作製をおこなっている。
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