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1997 年度 実績報告書

分子生物学的手法によるC型慢性肝疾患におけるウィルス増殖と肝発癌機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 08670585
研究機関大阪大学

研究代表者

笠原 彰紀  大阪大学, 医学部・付属病院, 助教授 (70214286)

研究分担者 三田 英治  大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
片山 和宏  大阪大学, 医学部・付属病院, 医員
佐々木 裕  大阪大学, 医学部, 助手 (70235282)
キーワードC型肝炎 / B7-1 / Fas抗原 / アポトーシス / インターフェロン / リボザイム / テロメラーゼ / 遺伝子導入
研究概要

C型肝炎肝組織におけるB7-1(CD80)及びFas抗原の発現動態を検討すると、肝炎の活動性とCD80およびFas抗原の発現動態の間に正の相関関係が認められた。HCV core抗原発現肝細胞近傍でCD80とFas抗原はほぼ同一の肝細胞に表出され、ウイルス性肝炎における肝細胞障害の発症機序として、HCV感染がCD80およびFas抗原の発現を誘導し、CD80を副シグナルとして抗原情報を提供されたT細胞がCD陽性肝細胞にFasシステムを介してapoptosisを誘導する可能性が示唆された。また、原発生肝細胞癌(HCC)細胞にVEGF遺伝子の発現増強が認められ、VEGFが血管内皮のVEGFレセプター(Flt-1)に作用し、HCCの被膜形成や隔壁形成に関与することを明らかにした。
C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)治療後の発癌に寄与する項目はIFN治療無効例、高年齢、男性で、IFN治療にてトランスアミナーゼの正常化が認められる再燃例では累積肝細胞癌併発率が著効例と同等で、無効例に比し有意に低率であることを明らかにした。以上より、C型慢性肝炎に対するIFN治療にてHCVの排除のみならず、一時的にでもトランスアミナーゼの正常化を来すことができれば、来るべき肝発癌を阻止するという目標を達成しうると考えられた。
IFN抵抗性C型肝炎に対する新しい治療法を開発するために、HCV RNA特異的hammerhead ribozymeを作成しその有用性を検討すると、ribozymeはウイルスRNAを切断し、ウイルス蛋白の翻訳をも抑制することより、C型肝炎に対する新しい遺伝子治療法として応用できる可能性が示唆された。
ヒト肝癌細胞株にB7-1(CD80)遺伝子を導入することにより腫瘍特異的細胞障害性T細胞が誘導された。マウスにおけるin vivoの検討では、B7-1遺伝子導入による免疫遺伝子治療・癌ワクチン療法が進行肝癌に対する治療法、さらに再発予防法として有用であることを明かにした。さらに、ヒト肝癌細胞株においてはhammerhead ribozymeがテロメラーゼ活性を抑制し、不死化細胞、癌細胞に対する新しい治療法となりうることも明らかにした。これらin vivo、in vitroにおける研究成果は、新しい制癌手法の開発につながるものと考えられた。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Yuki N, et al: "Relation of disease activity during chronic hepatitis C infection to complexity of hypervariable region 1 quasispecies." Hepatology. 25(2). 439-444 (1997)

  • [文献書誌] Kasahara A, et al: "Circulating matrix metalloproteinase-2 and tissue inhibitor of metalloproteinase-1 as serum markers of fibrosis in patients with chronic hepatitis C.Relationship to interferon response." J Hepatol. 26. 574-583 (1997)

  • [文献書誌] Mochizuki K, et al: "B7/BB-1 expression and hepatitis activity in liver tissues of patients with chronic hepatitis C." Hepatology. 25(3). 713-718 (1997)

  • [文献書誌] Ohkawa K, et al: "Cleavage of viral RNA and inhibition of viral translation by hepatitis C virus RNA-specific hammerhead ribozyme in vitro." J Hepatol. 27. 78-84 (1997)

  • [文献書誌] Tatsumi T, et al: "Expression of costimulatory molecules B7-1(CD80) and B7-2(CD86) on human hepatocellular carcinoma." Hepatology. 25(5). 1108-1114 (1997)

  • [文献書誌] Kasahara A, et al.: "Risk factors for hepatocellular carcinoma and its incidence after interferon treatment in patients with chronic hopatitis C." Hepatology. (in press).

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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