研究概要 |
106例の肝硬変(LC)が6年間に37.5%の頻度でHCCへとなり、HCV,HBV関与のLC症例の43%、ウイルス性LCの23%がHCCへと移行した.HBs抗原とHCVRNAの両者陽性の肝細胞癌が20%の高頻度に検出されたことは注目すべきことである.HCC患者血清の60-70%にHCVRNAが陽性に検出されるとともに、HCVゲノタイプのII型が慢性肝炎、肝硬変に比較して肝細胞癌の血清で高率に検出された。さらにHCCの組織の中にHCV-RNAを25%に検出したことなどから、HCCとHCVの間にも極めて密接な関係があることが推定される. RLGS法(restriction landmark genome scanning)によって他結節性のHCC2例、結節内に組織学的に多様構造を示すHCC1例、小肝癌3例、遠隔転移を起したHCC1例、大型の肝癌4例を分析して、2000個のスポットのうちで、増幅スポットの1部は、前癌病変出発生していることが示されており、これらの変化を解析することは、発癌機構を解析する上で極めて重要である。また多結節性の肝癌においては、RLGS法により、多発癌と肝内転移癌の識別が容易であった。一方22個のarbitrary primerを用いてPCRを行うAP-PCR-SSCP法による解析では、小肝癌20例における検索で、多数のDNA多型が観察された。数カ所にヘテロ接合性の消失(LOH)を観察した。またDNA領域の増幅あるいは塩基配列を含む癌部に特異的な移動度を示す小さなDNA断片を数個検出した。そのうちの1個のDNA断片はデータベイスに登録されていないものであった。現在このDNA断片の頻度と塩基配列の変化の発癌性について検討中である。
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