1.膵管胆道合流異常(AJPBD)の胆嚢粘膜長に対する検討 AJPBD合併胆嚢62例(A群)、AJPBD合併胆嚢癌16例(B群)、AJPBD非合併胆嚢癌60例(C群)、AJPBD非合併正常胆嚢6例(D群)を対象とし、胆嚢粘膜長を測定した結果、A・B群の粘膜長はC・D群に比べ有意に高いことが明らかとなった[Am.J.Gastroennterol.5 (1996) 1007-1011]。 2.AJPBDの病理組織学的検討 対象は1と同様で、胆嚢粘膜の過形成性変化を認めたものは、A群65%、B群63%、C群20%であり、異型性変化を認めたものは、A群13%、B群56%、C群20%であった[Am.J.Gastroennterol.5 (1996) 1007-1011]。 3.AJPBDの細胞増殖活性に対する検討 1と同様の対象について、Proliferative cell nuclear antigen (PCNA)の発現を免疫組織学的に検討した結果、A・B群のPCNAは、C・D群に比べ有意に高いことが明らかとなった[Am.J.Gastroennterol.5 (1996) 1007-1011]。 以上、1.〜3.よりAJPBDを合併した胆嚢粘膜の細胞増殖活性は高まり、さらにAJPBD合併胆嚢癌では背景粘膜の異形成が強くなっており、AJPBDは胆嚢癌の危険因子となることが強く示唆された。 4.human pancreatic phospholipase A_2 (h-PLA_2)に対する検討 ヒト膵癌細胞株において、h-PLA_2は増殖因子として働き[FEBS Lett 373 (1995) 85-87]、さらにその特異的な受容体と結合することで、膵癌増殖に対するシグナルを伝達することが明らかとなった[Int.J.Oncol.9 (1996) 1219-1225]。 なお、AJPBD動物実験モデルは、現在検討中である。
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