研究概要 |
大腸癌の組織発生,発育・進展に関する検討:ポリ-プ型及び表面型粘膜内癌におけるpS2蛋白の発現を免疫組織学的に検討した結果,癌及び過形成病変が腺腫に比して有意に高頻度であった。また,ポリ-プ型は表面型よりも,腫瘍径が大きいものは小さいものよりも,右側結腸病変は左側結腸病変よりも,腺腫併存病変は腺腫非合併病変よりも有意にpS2蛋白の発現率が高く,pS2蛋白発現と癌の組織発生との関連が示唆され,今後は浸潤・転移との関連や他の因子との相互関係を検索する事が必要である。 内視鏡切除遺残大腸癌の悪性度変化に関する検討:ヌードマウス移植大腸癌における高周波電流刺激の影響を検討したところ,Ki-67標識率からみた癌細胞増殖活性の上昇に伴い,腫瘍によっては,刺激前と比べEGF-receptor,TGF-αの発現増強が見られた。しかし,VEGF,bFGF,Type VI collagenaseの発現増強は見られなかった。以上のことから,内視鏡切除遺残大腸癌の一部のものは,治療の影響により高い増殖能を獲得する事が明かになった。しかし,浸潤・転移関連因子との関連は見いだせなかった。
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