研究概要 |
本年度はコリン欠乏アミノ酸置換(CDAA)食のin vivoモデルを用いてTGF-β1の前癌性病変に与える影響を検討するため以下の実験を行った。 (1) 雄性Wistar系ラットにコリン欠乏アミノ酸置換食を6週間投与した群。 (2) 雄性Wistar系ラットにブタ血清を0.5ml週2回腹腔内8週間投与し線維肝を作成した後、コリン欠乏アミノ酸置換食を6週間投与した群。 この2群間において、TGF-β1とTGF-β1のtype II receptorのmRNA発現とTGF-β1蛋白の発現および前癌性病変の頻度、大きさ、線維化の程度について検討した。 結果は、ハイドロキシプロリン量:810±357vs446±84μg/g(P<O.01)、前癌性病変:4.1±1.7vs1.9±0.8個/Cm2(P<0.01),428±282vs205±114μm/Diameter(P<0.05)とブタ血清土CDAA食群で増加した。TGF-β1蛋白も無処置群の平均を100%としてCDAA食群450±119,ブタ血清土CDAA食群816±234%と増加した。しかしながら、TGF-β1のtype II receptorのmRNA発現は(1)(2)群間で特に変化を認めなかった。 以上から、ブタ血清投与により誘導されたTGF-β1は線維化を誘発するが、前癌性病変の増殖は抑制できないことが明らかになった。
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