研究課題/領域番号 |
08670609
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
加嶋 敬 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (30079818)
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研究分担者 |
片岡 慶正 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (70185792)
SAKAGAMI Junichi Kyoto Prefectural University of Medicine, Department of Internal Medicine, Resea
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 腺房細胞増殖 / アポトーシス / CCK / PCNA / BrdU / 細胞回転 / ウエスタンブロット / シクリンD_1 |
研究概要 |
コレシストキニン(CCK)刺激後および急性膵炎回復期の膵腺房細胞増殖とその後の膵再構築における腺房細胞のアポトーシスとを経時的に検索し、その空間的規則性を解析した。ラットにprotease inhibitorであるcamostat(50mg/kg体重)を単回経口投与すると、血漿CCKは30分後において急激に上昇し、以後漸減して9時間後にはcontrol levelに復した。膵DNA含量は1日目に、膵湿重量・膵蛋白含量・膵RNA含量は2日目に有意な増加をみたが、5日目にはControl levelまで低下した。すなわち、このモデルは、内因性CCKreleaser投与によって膵trophismを惹起させ、その後の膵involution(退行変化)の時期を併せて評価しうる。腺房細胞のBrdU標識率はcamostat投与1日後に急激に増加し、controlの約15倍に達したが、その後急激に低下した。一方、TUNEL法による腺房細胞のアポトーシスはcamostat投与1日後以降に漸増する経過を示した。同一切片上での一定の腺房数と腺房細胞のBrdU標識率・アポトーシスの比率から計算したBrdU陽性の腺房細胞とアポトーシスとを併せ持つ腺房数の期待値に対する実測値はbinominal distribution(p<0.001)、Poisson's distribution(P<0.001)とも有意義な低値を示した。また、腺房細胞のDNA合成の盛んなcamostat投与12〜36時間にかけて、覚醒ラットにBrdU(4mg/hr)を持続静注し、5日目に屠殺し、BrdU標識の程度を検討した。その結果、約12%の腺房細胞に依然として標識細胞がみられ、この腺房細胞は比較的巣状に存在し、BrdU陽性のmitosisもみられたため、腺房細胞は少なくとも2回cell cycleを回るものがあることが示唆された。他方の実験系として、ラットにL-arginine monohydrochloride(4.5g/kg体重)を単回腹腔内投与して急性膵炎モデルとした。急性膵炎の進展期(12時間後)に膵腺房細胞のPCNA陽性率が急激に上昇し、この際、腺房細胞のBrdU標識率は上昇をみなかった。PCNAはG_1後期からS期にかけて増加する核蛋白であり、急性膵炎進展期における腺房細胞は、一旦G_1期に入り、その後死滅する可能性があるといえた。Western blottingでは、急性膵炎進展期における腺房細胞のPCNAはpolymericであるか、cyclinD_1などのG_1cyclinとの複合体として増加していることが想定された。急性膵炎回復期においては、BrdU標識率やTUNEL法を用いた組織学的検索の結果、腺房細胞増殖のみならず腺房細胞のアポトーシスも有意に増加していた。Brdu陽性の腺房細胞とアポトーシスとを併せ持つ腺房数の期待値に対する実測値の検討では先述のモデル同様、binominal distribution(p<0.0001)、Poisson's distribution(P<0.0001)とも有意な低値を示した。
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