研究概要 |
平成9年度は電子顕微鏡的観察と一部in situ hybridizationを行ない、前年度間葉系細胞でみられた陽性反応の局在につきさらに詳細に観察を行った。 方法としては、診断的、治療的必要性から肝生検を行った慢性非活動性(CPH),慢性活動性(CAH),肝硬変(LC)患者肝組織を用いて組織化学的にマウス抗ヒトIV-C,MMP2,MMP3,TIMP2モノクローナル抗体を用いて酵素抗体間接法を行い、DAB反応後OsO4により後固定後エポン樹脂包埋を施した。semi thin,ultrathin sectionを作成し、semi thin sectionはトルイジンブルー染色を行い光学顕微鏡下で高倍率像の観察をまたultra thin sectionはJEM1200EX透過型電子顕微鏡により陽性反応示す細胞と細胞内小器官について検討した。 In situ hybrizationはヒトMMP-2,3,TIMPー1,2の遺伝子配列から、ホモロジー解析により特異的な遺伝子配列を選択し、相補する20塩基程度のオリゴヌクレオチドをDNA合成機を用いて作製した。DIGーoligonucleotide tailing kit(ベーリンガー)を用い、DIG標識アンチセンスプローブとした。対照としてセンスプローブを作製した。前記の連続切を無水酢酸でアセチル化し、prehybridization溶液で反応後、プローブを加えたhybridization溶液をマウント、密閉容器内で37℃,20-24時間反応した。洗浄後HRP標識抗DIG抗体で処理し発色、対比染色後観察に供した。 結果、エポン樹脂包埋トルイジンブルー染色切片では、MMP2,3の陽性反応はKupffer細胞,fibroblastに認められた。TIMP2の陽性反応は伊東細胞に認められ、この反応は電顕的にも明かと考えられた。一部の肝硬変症例においてMMP2が肝細胞に陽性であり、電顕的にrーERを中心に分泌顆粒を示唆する数オームストロングの顆粒が細胞質に認められ、これまで報告されていない肝細胞での産生が示唆された。In situ hybridizationではMMP2の陽性反応はKupffer細胞に認められ、TIMP1は伊東細胞とみられる細胞で陽性であった。
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