研究概要 |
まず、HBVがin vitroで発現するシステムを確立した。HBVを PCR法によって、3個のovelapした fragmentとして増幅し、overlapした部分に存在するユニークな酵素サイトで切断した後、それぞれをligateしてHBVの全長を作成した。さらにDR1,DR2を含む部分(AatII:nt.1402-DraI:nt.2214)をその全長に付加した。このコンストラクトは、完全なpregenome RNAを作り、またすべてのopen reading frameが完全に翻訳されるために、in vitroでも複製可能である。このことは、このコンストラクトHepG2細胞にトランスフェクトし、細胞内のreplicative intermediateや、細胞内および培養上清中のHBs抗原を検出することにより確認した。さらにこのコンストラクトと陽性リポソーム(リポフェクチン)の混合物をマウス(C57BL/6)の肝被膜下に局注すると、注射2日後に血清中でHBs抗原が検出された。また2日後の肝組織内のHBs抗原とHBs抗原を免疫組織染色で確認した。更に注射10日後には、血中でHBs抗原は消失し、代わって、HBs抗体を検出した。しかし、組織学的に肝障害は認められなかった。少なくとも、抗原抗体反応に関する限り、急性肝障害のモデルになると考えられた。また、同様の方法で劇症肝炎患者由来のHBV株のコンストラクトとを作成し、マウスの投与したところ、野生株のHBsに対するnon-responderのstrainでも抗体産生を誘導することがわかった。このことから劇症肝炎患者におけるHBV変異株は、高い抗体誘導能を示し、B型劇症肝炎にみられる早期のseroconversionを説明しうるものと考えられた。
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