研究課題/領域番号 |
08670636
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
岩尾 忠 久留米大学, 医学部, 講師 (10193715)
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研究分担者 |
中野 良一 久留米大学, 医学部, 助手 (50289419)
豊永 純 久留米大学, 医学部, 教授 (00098881)
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キーワード | 門脈圧亢進症 / 血行動態 / 血管作動性物質 / 肝硬変症 |
研究概要 |
肝硬変患者における循環亢進動態の病態解析 肝硬変では、末梢血管抵抗が威弱しておりその結果循環亢進動態が惹起されると解釈されている。この循環亢進動態の病態を解析するため、我々は全身循環動態に加え内臓領域(上腸間膜動脈)および非内臓領域(大腿動脈)の血行動態の変化についても検討したところ、上腸間膜動脈血管抵抗指数との間に肝疾患の病勢や末梢血管抵抗と良好な相関が存在したが、大腿動脈血管抵抗指数との間にはこのような相関は見い出し得なかった。以上より肝硬変に認められる末梢血管抵抗の低下の主座は内臓領域の血管拡張にあるとの結論に達した(J Hepatol l997;27;817-23)。また、この選択的な内臓領域の血管拡張には、グルカゴンが関与していることを示した(Eur J Gastroenterol Hepatol l997;9:1233-7)。 肝硬変における循環亢進動態の機序として、循環血液量の増加も関与している可能性がある。そこで、立位から仰臥位へ体位変化を行い、循環血波量を増加させたところ、肝硬変においてもコントロールにおいても心拍出量ならびに上腸間膜動脈血液量の増加を認めたが、その程度は肝硬変で大きかった。また、立位では心拍出量は両者の間で差がなかった。これらのことは肝硬変における循環亢進動態は、仰臥位で悪化し、かつ、内臓領域の循環血液量の増加が重要であることを示した(J Hepatol 1997;27:484-91)。 内臓血行動態パターンと肝機能との相関:食道静脈瘤と胃静脈瘤の対比 食道静脈瘤と胃静脈瘤を有する肝硬変においては内臓血行動態が異なることが明らかにされている。しかしながら、定量的なデータについては報告が少ない。今回我々は、胃静脈瘤発達群では食道静脈瘤発達群と異なり、門脈血流の低下と側副血流量の増加が存在し、この門脈流出路パターンの相違が胃静脈瘤発達群に認められる肝機能低下の病態に関与していることを示した(Am J Gastroenterol l997;11:2085-9)。
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