1.c-myc、L-myc遺伝子各々のタンパク質翻訳開始部位に対するアンチセンスDNA(フォスフォロチオエ-ト型、15塩基)を合成した。c-myc遺伝子を発現している肺小細胞癌細胞株NCI-H82およびNCI-H417において、c-mycアンチセンスDNA(10μM)は細胞増殖抑制効果を示した。L-myc遺伝子を発現している肺小細胞癌細胞株NCI-H209およびNCL-H510において、L-mycアンチセンスDNA(10μM)は細胞増殖抑制効果を示した。 2.各種レチノイン酸(all-trans-レチノイン酸、9-cis-レチノイン酸、13-cis-レチノイン酸)を上記の細胞株の培養液に添加したところ、各レチノイン酸間で細胞増殖に対する効果に差を認めなかった。NCI-H82およびNCI-H510細胞の増殖は10μMのall-trans-レチノイン酸添加でれぞれ、47%および21%抑制された。NCI-H209細胞の増殖はall-trans-レチノイン酸添加の影響を受けなかった。 3.NCI-H82細胞を材料としてc-mycアンチセンスDNAとall-trans-レチノイン酸の併用添加が細胞増殖およびc-myc遺伝子発現に対して示す効果を検討した。c-mycアンチセンスDNAとall-trans-レチノイン酸の単独に比してNCI-H82細胞の増殖を相加的に抑制した。c-mycアンチセンスDNAとall-trans-レチノイン酸の併用は、各々の単独に比して、NCI-H82細胞のc-myc mRNA発現を相加的に抑制した。c-mycアンチセンスDNAとall-trans-レチノイン酸の併用は、各々の単独に比して、NCI-H82細胞のc-mycタンパク質発現を相加的に抑制した。
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