研究成果;月経に関連した気管支喘息の急性増悪、即ち月経期喘息の発症機序を明らかにすべく以下のような研究を行った。 1.女性ホルモン調節可能ラットの作成;雌のBNラット(7週令)を全麻下に両側卵巣摘除術を施行し、内因性のエストローゲン、プロゲステロンを枯渇させ、その後エストローゲン単独補充群、プロゲステロン単独補充群、エストローゲン+プロゲステロン補充群、ホルモン非補充群の4群に分類した。 2.女性ホルモンの喘息反応に対する効果および関与するケミカルメディエーターの分析;上記4群のラットにおいて、卵白アルブミンおよび水酸化アルミニウムの皮下注で感作し、感作成立後にウルトラネブライザーで経気道的に抗原(卵白アルブミン)を暴露し、経時的に気道内圧を測定し、即時型(IAR)および遅発型喘息反応(LAR)の発現を観察した結果、エストローゲン+プロゲステロン補充群でIARおよびLARの発現が抑制されることが明らかにされた。この時、気道の狭窄に関与するケミカルメディエーターを明らかにするために、各群の血中のケミカルメディエーターの分析を行った結果、エストローゲン+プロゲステロン補充群では血中のロイコトリエンC_4値が有意に減少していることが明らかにされた。(15±3.0pg/ml、n=4、p<0.05)その他のヒスタミン、IL-1β、IL-4、IL-5、IL-6、GM-CSF、LT-B_4、PAF等は有為な変化を示さなかった。 以上の結果より、女性ホルモンの周期的投与は経気道的抗原暴露後の喘息反応を有意に抑制し、その抑制のメカニズムの一つとして、ロイコトリエンC_4の抑制が重要であると考えられた。
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