研究概要 |
我々は、平成8年度科学研究費補助金(基礎研究C;研究課題名:気道過敏性発生機序に関する研究-神経原性炎症の自律神経受容体発現に及ぼす影響-)の交付により自律神経受容体すなわちムスカリン受容体、セロトニン(5-HT)受容体に関する基礎的および臨床的研究を行った。基礎的研究として、イヌ気管平滑筋を用いセロトニン受容体サブタイプの影響を検討した結果、気道平滑筋収縮に関与するのは5-HT2であること、副交感神経刺激による気道平滑筋収縮増強作用に対しては、5-HT3および一部5-HT4受容体が関与していることを報告した(第46回日本アレルギー学会総会、10月30日、1996年、宇都宮)。さらに、モルモット気管平滑筋に対し[^3H]コリンを取り込ませ、5-HTの副交感神経末端からのアセチルコリン遊離能を検討した結果、気道平滑筋上で副交感神経と5-HTが深く関連し、その作用には5-HT3受容体が関連することを報告した(第46回日本アレルギー学会総会、10月30日、1996年、宇都宮)。神経ペプチドの神経原性炎症研究の一環として、新しい神経ペプチド受容体拮抗薬FK224の基礎的検討をin vivoで行い、FK224のNK1およびNK2受容体拮抗作用を明らかにした(Arzneimittel-Forshung,45(11):1194-1197,1995)。また、臨床的研究として、ムスカリン受容体の気管支喘息における影響を検討し、ムスカリン受容体拮抗薬である抗コリン薬が老年気管支喘息患者において有用性であることを明らかにした(Arzneimittel-Forshung,46(12):1130-1133,1996)。
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