研究概要 |
われわれは、平成8年度科学研究費補助金(基盤研究C:研究課題名:気道過敏性発症機序に関する研究-神経原性炎症の自律神経受容体発現に及ぼす影響;課題番号 08670648)の交付により自律神経受容体のひとつであるムスカリン受容体、セロトニン(5-HT)受容体に関する基礎的、臨床的研究を行った。すなわち、基礎的研究として、イヌ気道平滑筋を用い、セロトニン受容体サブタイプの影響を検討した結果、気道平滑筋収縮に関与するのは5-HT2であること、副交感神経刺激による気道平滑筋収縮増強作用に対しては、5-HT3および一部5-HT4受容体が関与することを報告した(第46回日本アレルギー学会総会、1996年10月30日、宇都宮)。さらに、モルモット気管平滑筋に対して、[^3H]コリンを取り込ませ、5-HTの迷走神経末端からのアセチルコリン遊離能を検討した結果、気道平滑筋上で副交感神経とセロトニン受容体は深く関連し、その作用には5-HT3受容体が関与していることを報告した(第37回日本胸部疾患学会総会、1997年4月12日、横浜)。さらに、臨床的研究として、ムスカリン受容体の気管支喘息における影響を検討し、ムスカリン受容体拮抗薬である抗コリン薬が老年気管支喘息患者に有効であることを報告した(Arzneimittel-Forshung,46(12):1130-1133,1996)。さらに、チキジウムのムスカリン受容体拮抗作用をin vitroおよびin vivoで明らかにした(Eur J Clin Pharmacol 50:375-380,1996.)。
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