研究課題/領域番号 |
08670656
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
滝沢 始 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (80171578)
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研究分担者 |
佐藤 誠 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
庄司 俊輔 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10171018)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 気管支喘息 / 気道傷害 / リモデリング / 成長因子 / 分化過程 / TGFβ |
研究概要 |
TGFβはヒト正常気管支上皮細胞の増殖に対して、濃度依存的な抑制作用をしめし、またその線毛上皮への分化にたいしても抑制性に作用した。すなわち、この抑制性成長因子が気道粘膜の修復に対し阻止的に作用しうることが示唆された。また、気管支喘息患者の気管支上皮細胞を用いた検討により、気管支喘息患者における気道粘膜のTGFβ遺伝子の発現が亢進していることが示唆された。これらの結果は、TGFβの、慢性喘息における修復過程の障害とリモデリングへの関与を強く支持する結果と思われる。ヒト極細気管支鏡により回収された細気管支上皮での結果では、TGFβに加え、インターフェロンγ(INFγ)にも増殖抑制作用を認めた。さらに、最近さまざまな臓器で組織修復での役割が注目されている肝細胞増殖因子(hepatocyte growth fator,HGF)は、増殖刺激作用を示すことが認められた。されにその分子機構としてmitogen-activated kinase(MAPK)の活性化が関与するという成績を得た。これらの新しい知見は、気道のリモデリングによりもたらされる慢性喘息でみられる不可逆性の気道閉塞の病態解明に光を与えるものと考える。また、いままで、気管支上皮の分化過程の制御機構について各種成長因子の観点から検討したものはほとんどみられない。TGFβの分化への抑制作用は、今後その分子機構を含め検討する必要があると思われる。
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