特発性間質性肺炎(IIP)と膠原病に伴う間質性肺炎(IP-CVD)の胸部高分解能CT画像から、画像解析装置IBASにより肺野濃度の上昇領域を取り込み、その広がりの定量的解析を行ったが、必ずしも呼吸機能検査所見、血液ガス分析所見と相関しなかった。慢性型の間質性肺炎では、経時的に濃度上昇領域の拡大とともに、蜂巣肺honeycombingの拡大や気腫性、嚢胞性病変を伴ってきており、肺病変の進行度の評価のために、正常肺野濃度領域の容積を定量的に評価することを試み、これらと呼吸機能、血液ガス分析所見との対比を行った。 IIPとIP-CVDの胸部高分解能CT画像および胸腔鏡下肺生検組織の画像解析装置による三次元解析は、画像解析装置への取り込み段階におけるわずかな位置や軸のずれが問題となり、また白黒濃度の認識方法や色調の認識方法にも問題が残っている。 気管支肺胞洗浄(BAL)により回収された肺内細胞、特にリンパ球と肺胞マクロファージの細胞表面マーカーのFACScanによる解析により、IIPとIP-CVD、またIP-CVDの中でも各膠原病の違いにより、細胞表面マーカーの発現頻度に差がみられることが明らかとなり、さらに回収された液性成分でのサイトカインや各種メディエーターの測定を試みている。一方、同一症例での病変の強弱に合わせた部位でのBALの施行は、ベースに存在する間質性肺炎のため低酸素血症をきたしやすく、BALの方法等に検討を要すると思われる。 生検肺組織材料からの肺線維芽細胞の培養方法は確立され、培養上清におけるprocollagen type I c-peptideの測定を行った。さらに、培養肺線維芽細胞の増殖に対するステロイドや免疫抑制薬、さらに各種サイトカインの影響を検討している。IIPとIP-CVDでの比較、同一症例での病変の高度の部位と病変の軽度の部位からの材料での比較検討を行っている。
|