研究概要 |
外因性に投与したNOとO_2^-によって肺傷害が生ずるのか?アポトーシスは関与するのか?また、リノール酸のエポキシドであるLeukotoxin(Lx)によって肺動脈血管内皮細胞はアポトーシスを生ずるのか?を念頭に以下の実験を行った。 ラットかん流肺で吸入気酸素濃度21%,40%もしくは95%で換気しNOドナー(NOC7)を0μM,10μM,50μMもしくは100μMをそれぞれかん流液リザ-バに投与した。一部の肺にはONOO^-160μMないしは320μMをそれぞれ投与した。その後60分間かん流圧(Ppa)と肺湿重量(△WLW)をモニターし、スタート時と終了時にかん流液LDH活性を測定した。40%O_2+NOC7100μM群が、95%O2+NOC7 100μM,95%O_2+NOC7 10μM,95%O2+NOC7 100μM,40%O_2+NOC7 50μM,21%O_2+NOC7 100μM,21%O_2+NOC7 50μM,95%O_2単独の各群よりももっとも肺乾湿重量比、LDH活性の増加を認め、21%O_2群と比べ有意であった。ONOO^-群では変化をみなかった。Ppaの変化をみないので40%O_2+NOC7 100μM群では透過性亢進型の急性肺傷害を生じると考えられた。このようにO_2^-とNOは肺傷害をもたらす最適比になってはじめて傷害作用を生じると思われる。培養ヒト肺動脈血管内皮細胞をLxとインキュベートするとLxの濃度依存性に即時的にO_2^-を生成した。そしてアロプリノール前投与によって(インドメタシン、アポシニン、SOD,LNMMA前投与は無効)このO_2^-生成は抑制された。すなわちLxは血管内皮のキサンチンオキシダーゼ活性を刺激する作用を保持する。またLx100μM投与で6時間後からTUNEL陽性細胞が増加し、Lx10μMの投与では4時間後にTUNEL陽性細胞を認めた。DNAラダー生成も後者で認めた。Lx高濃度では細胞壊死を、低濃度ではアポトーシスを一部生ずると考えられた。Lxは活性酵素、NO代謝物などを産生し、血管内皮細胞のアポトーシスをもたらすと考えられた。
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