研究課題/領域番号 |
08670662
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
呼吸器内科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北市 正則 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (00161464)
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研究分担者 |
佐竹 範夫 京都大学, 胸部疾患研究所, 助手 (50252515)
長井 苑子 京都大学, 胸部疾患研究所, 助教授 (30217955)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 特発性肺線維症 / ばち状指 / 平滑筋増生 / 血小板由来成長因子 / PDGF-AA / PDGF-BB / Aschcroftの線維化病変指数 / 間質性マクロファージ |
研究概要 |
特発性肺線維症は、原因不明で慢性経過の難治性びまん性肺疾患では最も頻度の高い疾患で、慢性進行性の不可逆的な肺線維化病変のために、呼吸不全をおこす予後不良の疾患であり、診断時点からの50%生存率は4-6年とされている。一方、特発性肺線維症では病理組織学的に肺の線維化病変内に平滑筋増生が認められることが多く、我々は肺線維化病変内の平滑筋増生所見が、ばち状指の有無と統計学的に有意の関連があることを特発性肺線維症52例の開胸肺生検の検討から明らかにした(CHEST 105;339-342,1994)。一方、ばち状指の成因には定説はないが、血小板由来生長因子(PDGF)の関与を示唆する報告がある。今回の研究では、外科的肺生検18例の肺標本に対してPDGF-AA及びPDGF-BBに対するモノクローナル抗体を用いて免疫組織学的に検討し、下記の結果を得た。(1)抗PDGF-AA抗体及び抗PDGF-BB抗体に対する陽性細胞は間質性線維化病変内の大単核細胞、肺胞被覆細胞および肺胞マクロファージに認めた。これらの陽性細胞の内、線維化病変内の大単核細胞が最も強く、かつ最も早く陽性を示した。(2)抗PDGF-BB陽性の間質性大単核細胞をAshcroftの線維化病変指数で除した数値は、線維化病変内の平滑筋増生が強い群9例では、線維化病変内の平滑筋増生が弱い群9例に対して有意な高値を示した。しかし、線維化病変内の抗PDGF-AA陽性細胞にはこのような関係は認めなかった。(3)間質内の抗PDGF-BB陽性細胞はmirror image法によってCD-68モノクローナル抗体を用いて検討した結果、63%の頻度でマクロファージであることを証明できた。(1-3)の結果から、抗PDGF-BB陽性の間質性マクロファージが特発性肺線維症の肺線維化病変内の平滑筋増生に主要な役割を果たしていると結論できた。
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